2021.02.14

本日のゼミでは、M1(宇ノ木・安藤・今井)による発表を行いました。本発表は翌日に控えた特別研究の発表資料の検討を目的とするものでした。発表資料では修士論文の問題の所在、先行研究のレビュー、研究方法について整理しました。
宇ノ木はヨーロッパにおける歴史教育の文脈を理解するために、そこで注目されている概念「歴史文化(Historical Culture)」についての先行研究を整理しました。今後は整理した理論に基づき開発研究を行なっていくという方向性を行う予定です。安藤は社会科教師の専門性に関する研究について書かれた文献の傾向から、近年、実証的研究を中心とした方法論が用いられていることを指摘しました。また、異動によって自身の規範が揺さぶられる経験をした教師にスポットを当て聞き取り調査をするという研究デザインを構築しました(図)。今井は教員養成過程における理論的根拠形成について、学生が意味を見出していないことが課題であるとしました。その上で、学生の意味づけを探るために方法論としてTEAを採用し、調査を分析するという計画を立てました。
特別研究の直前ですが、本日のゼミでの有意義な批判を受け、資料に若干の修正を加えることができました。今後も修士論文執筆に向けて研鑽していきたいと思います。【文責:安藤瑛啓】
2021.01.26

本日のゼミは博士課程2人(河原・宅島)による発表でした。河原は日本における学校ベースの教師教育者の現状と課題について考察しました。学校ベースの教師教育者に関する研究は日本では発展途上である一方で、「教師を育てる場としての学校」論によって教師教育者が認知されつつある(図)という現状を報告しました。一方で、教師教育者の目的・専門性・支援ニーズは多岐に渡り、教育指導担当者の選定も多様であることから具体的な議論が難しいとする課題についても指摘しました。
宅島は社会系教科教育学会研究発表大会の発表資料の論文化に向けた検討を行いました。問題の所在から研究成果までの一貫性や論文に書くべき情報・優先度が低い情報など様々な観点から意見が飛び交いました。草原ゼミは下は学部生から上は博士課程まで幅広い年齢層の生徒が参加する形で行われています。本発表は学部生にとって論文化する前の研究を批判する貴重な機会であり、また院生も良い刺激を受けることができました。私も本日得ることができた知見を今後の論文執筆に活かしていきたいです。【文責:安藤瑛啓】
2020.02.22



本日のゼミはM1(神田)とB3(正出・津田)による発表でした。神田は、前回の発表で考えた「誰もが意見しやすい教室環境」に関する学術的な意義を考察しました。先行研究では「open classroom climate」という概念があり、レビュー論文を参考に概念整理をしました。質疑応答では、RQについてご指摘を頂き、次回の課題となりました。
B3のお二人は卒業論文の構想を練ってきてくれました。正出さんは、「社会に開かれた教育課程」の性質とその問題点を指摘するために、隠れたカリキュラムに関する概念整理と研究方法を提示しました。質疑応答では、主に研究方法とその可能性について焦点が当たり、今後の調査に向けての具体的なイメージが練られていきました。また、津田さんは、小学校高学年の教師用指導書の利用状況について、自身の教育現場での経験とインタビューをもとに、現場のニーズを明らかにしてくれました。質疑応答では、現場のニーズと研究上で求められている指導書の活用方略に「ズレ」がみられることが明らかになりました。3人とも成果と課題が見つかるゼミ発表となり、今後、自身の研究を洗練化していくための貴重な意見をいただくことができました。
また、今年度は今回のゼミで最後になります。草原先生をはじめ多くの方に支えられて研究を進めていくことができた1年になったと思います。みなさまの進路は様々だと思われますが、感謝の気持ちを忘れず、来年度以降も精進していければと思います。1年間お疲れ様でした!
【文責:神田颯】
2020.01.12


本日のゼミは、B3(正出)とM1(神田)による発表でした。正出さんは、問題意識として「社会科教育における地域間格差」を提示し、それを解消するためにアマルティア・センの「ケイパビリティ・アプローチ」の考察をしていただき、私個人としても大変興味深く聞かせていただきました。質疑応答では、ケイパビリティ・アプローチについての理解の共有や、今後の研究の方向性について理論研究か調査研究かなどの議論が活発に行われました。理論的な側面についての整理も進み、卒業論文の執筆に向けて前進しているようです。
神田は、ゼミの発表準備をしていく中で問題意識が拡散してしまったことを踏まえて、ひとまず興味のある文献として長田(2014)と神野(2020)についての考察を発表しました。質疑応答では、発表者の興味・関心を問うていただき、「社会科授業の空間が意見を言いやすいものであってほしい」という自身の考えを省察することができました。次回の発表に向けての方向性が見える発表となりました。
また、今回が2021年の初回ゼミとなりました。今年もゼミ生同士の議論によってよりよい成果を生み出していけるような一年になればと思います。【文責:神田颯】
2020.12.22

本日のゼミはM1(孫玉珂・渡邉竜平)・B4(山本康太・吉田純太郎)の発表でした。
修士論文・卒業論文の提出がいよいよ来年1月に迫ってまいりました。提出に向けて渡邉・山本は序章,山本は第二章の草稿を発表しました。議論を重ねる中で,これまでの研究成果を上手く表現することの難しさを感じつつも,より妥当な表現で執筆するための示唆を得ることができました。締切まで残りわずかですが,よい研究成果が残せるように全力を尽くします。
また吉田は,卒業研究の追加調査計画を発表しました。卒業研究では量的調査をしたのに対して,追加調査では質的調査を実施します。調査方法がガラリと変わるため,研究方法論を勉強することが喫緊の課題であると感じました。
ところで,今回は2020年最後のゼミでした。毎年この時期,草原ゼミではクリスマス会をすることが恒例です。しかし昨今のコロナ禍により今年はあいにく開催できませんでした。来年の開催を祈念しつつ,オンライン上でささやかにクリスマスを感じることにより研究のための英気を養いました。【文責:吉田純太郎】
2020.11.30



本日のゼミは修士1年(神田)学部3年生(津田・正出)が発表しました。
神田さんは、修論に向けての発表でした。前回の発表で提示した取り組みたいテーマ①レリバンス②P4C③民主的な教室空間のなかで、特に②P4Cの概要、魅力、主要な文献や研究者について報告しました。先生や学生からは、多くの研究蓄積がある分野であり、その利用方法や観点について多くのコメントが寄せられました。
津田は卒論の構想として「教科書教材を使った小学校社会科における社会参加型授業の開発」と題して主に自分の持つ問題意識を中心に発表しました。社会参加はすでに指導書の目標として掲げられているため、実際の現場では教科書・指導書等がどのように使われているのかを調査すべきとの意見をいただきました。
正出は卒論構想について発表しました。社会科と教育の地域間格差に関連する内容での執筆を目指し、社会科と格差の再生産や教育の地域間格差などに関する先行研究のレビューを通じた問題意識の妥当性の検討を試みました。今後の方針、分析概念、参照すべき文献などたくさんのアドバイスをいただきましたので次回の発表に向けて方針を具体化していきたいと思います。
今回の発表で各々今後のすべきことが明らかになりました。来年に向けてさらに努力してまいります。【文責:津田晃希・正出七瀬】
2020.11.24

本日のゼミは学部4年生(山本康太・加藤隼哉・吉田純太郎)の発表でした。
山本は,米国ニューヨーク州の社会科カリキュラム”NYS K-12 Social Studies Framework”の各学年の教育内容を紹介し,編成の特徴を示しました。今後は内容と能力目標や学問分野の関連性を明らかにしていきたいと思います。
加藤は,社会科教員志望者に向けて行った意識調査の結果を発表しました。学生一人ひとりに多様な社会認識についての意見が見られました。また,今後どのような追加調査,分析を行っていくのか意見をいただきました。
吉田は,前回に概要を発表した質問紙調査の分析結果を報告しました。数値化された結果から,様々な特徴がみられ,多くの意見が出されました。結果から新しい研究課題も見えてきたようです。
今年も残り一カ月ほど,卒業論文の締め切りも迫ってきています。より良い結果に向けて努力を続けてまいります。【文責:山本康太】
2020.11.09

本日は、M1の3人が11月特研の模擬発表を行いました。
安藤は、「世界構成員としての地理教育ーIBDP地理カリキュラムの分析を通してー」という修論題目(仮)のもと、本発表では、問題の所在とIBDP地理カリキュラムの概要を発表しました。IBDP地理の概要・優れている点をもっと主張することが必要ではないかという意見をいただきました。
宇ノ木は、「ヨーロッパにおけるホロコーストカリキュラム分析研究−公共の記憶の再構築学習をめざして−」という修論題目(仮)のもと、問題の所在を中心に発表しました。ホロコーストの先行研究だけでなく、記憶の継承に関する先行研究ももっと補うことが必要でないか、各単語の定義を丁寧にするべきという意見をいただきました。
今井は、「社会科教員志望学生にみる教師教育カリキュラムへの期待と現実とのギャップに関する研究」という修論題目(仮)のもと、問題の所在と文献レビューを発表しました。リアリティ・ショックの射程をどこまで含むようにするのか、先行研究が冗長なため、整理する必要があるのでは、という意見をいただきました。
いよいよ、明日10日は11月特研。最後の最後まで粘り続け、より良い発表ができるよう、いただいた意見をもとに修正をしたいと思います。【文責:宇ノ木啓太】
2020.10.27

本日のゼミでは11月特研に向けてM1宇ノ木・安藤・今井が発表しました。
宇ノ木は、前回発表した問題意識に基づき、日本におけるホロコーストについての先行研究を収集しました。先行研究は「日本でホロコーストをどのように教材にするのか」「外国のホロコースト教育はどのようになっているか」という視点で実施されたものが多いとのことです。研究の視点として、「記憶の継承という側面から見た先行研究が参考になるのでは」という指摘がありました。
安藤は、改めて問題意識の設定とIBDP地理教科書の分析・考察を行いました。問題意識では、構成員教育という視点からIB教育が世界の構成員としてのアイデンティティの形成に資する点に着目した上で、その分析が日本の社会科教育研究に示唆を与える可能性があることを論じました。教科書分析では「都市環境」の章を取り上げ、重要概念「可能性」が本章にどのように関わっているかという視点で分析しました。
今井は、「リアリティ・ショックとは何か」という問いに答えるために、3つの視点で文献レビューを行いました(写真)。「主体」については新卒・中途労働者や学生が該当するとのことです。また、リアリティ・ショックは「予期的社会化段階」「組織社会化段階」の2つの段階で発生し、例えば学生は学業に対しそれを感じることが示唆されているようです。
3人ともそれぞれのペースで着実に研究を進めているようです。特研まであとわずかですが、お互い切磋琢磨してより良い発表を目指していきたいです。【文責:安藤瑛啓】
2020.10.21

本日のゼミは学部4年生(加藤隼哉・山本康太・吉田純太郎)の発表でした。
加藤は,研究における問題意識を改めて発表しました。社会科教員やその志望学生は「社会参加・社会変革」することに対して積極的かどうか。そもそも「社会参加・社会変革」とは何か。これまでの政治参加や日常生活における経験を踏まえて議論が白熱しました。
山本は,米国ニューヨーク州の社会科カリキュラム”NYS K-12 Social Studies Framework”について紹介しました。学習指導要領の目標や内容構成と比較するとどのような共通点や相違点があるか。分析が進むにつれて日本のカリキュラム改善のための示唆を得ることが期待されます。
吉田は,夏休み期間に実施した質問紙調査の結果の概要を報告しました。日本における論争問題の指導実態やその課題が量的に明らかとなりました。難解な統計ソフトと格闘しながらも,貴重なデータの解析により一層努めたい次第です。
秋も半ばを過ぎ,いよいよ卒業論文研究も峠にさしかかりました。少しでも有意義な研究結果を残すことができますよう尽力いたします。【文責:吉田純太郎】
2020.10.13
本日は、後期で初めてのゼミでした。11月の特研に向けてM1の3人がそれぞれが問題意識や方向性を発表しました。
宇ノ木は、ホロコーストに関するプログラムを見るという方向性で、いくつかの海外のプログラムを紹介しました。問題意識の洗練やどの研究を取り上げるかの基準を洗練させる必要があると指摘をいただきました。
安藤は、IBDP地理のカリキュラムを分析するという方向性で、地理科地理でなく社会科地理を目指すべきという問題意識を発表しました。また、「権力・Power」という概念に着目して分析するという方法を構想しました。今後に向けてカリキュラムを見て、問題意識を洗練する必要があるとの指摘をいただきました。
今井は、入門期の大学生を対象にリアリティ・ショックを調査するという方向性で、リアリティ・ショックを緩和する必要性という問題意識を発表しました。実際に参加していたゼミ生にリアリティ・ショックを感じたか質問し、リアリティ・ショックが多様だあることがわかりました。
たくさんのゼミ生からクリティカルな指摘を得ることができて、特研に向けて方向性が見えてきました。今後も一層頑張っていきたいと思います。【文責:宇ノ木啓太】
2020.09.30

本日は、後期に向けて活力注入。草原和博ゼミナールオンライン飲み会を開催しました。12名のゼミ生が参加。話題は、「夏休みで一番の思い出は何か」「コロナ後行きたいところはどこか」など。それぞれすべらないネタを持っていて、途中から某番組のようになっていきました。後期から広島大学は、一部対面開始。また皆さんで後期のゼミを盛り上げていきましょう。楽しいひとときでした。【文責:小栗優貴】
2020. 07. 28
今日はM1の四人が発表しました。主な内容は今後の研究計画及び前期終了後の時間の使い方についてでした。宇ノ木さんはドイツのホロコースト教育の研究への意気込みを語りました。ホロコースト教育について研究する背景として,自国にとって都合が悪い歴史をいかに教えるのかについて示唆を得ることを目的に語ってくれました。私は社会科教育を目指す大学生の入学ギャップとその解消過程の研究について共有しました。大学生が教職課程に期待していることと,大学で学んでいることのギャップについて学部のゼミ生から当事者の意見をいただくことができました。

安藤さんはIBDPの地理カリキュラムの研究について発表しました。国際的なカリキュラムであるIBの特徴について地誌の内容がないなどの点を共有することができました。神田さんは現在の研究関心を語ってくれました。関心の中核には「レリバンス」があるそうで,夏休みは,ブルーナーやデューイ,本田由紀の書籍を通じてレリバンスについての理解を深めることを決意表明してくれました。【文責:今井祐介】
2020.07.20
本日のゼミは,小栗優貴(D2)と鈩悠介(D4)の発表。小栗の発表では,博論の構造・ICCS調査を応用したアンケートの構成・他者への研究の伝え方が話しあわれました。鈩の発表では,昨年度まで行ってきた「歴史的意義」の相対化・メタ認知を目指すアクション・リサーチの「アクション」を参加者で分析していきました。
草原ゼミ生の研究は,社会科や市民性教育という点では繋がっている一方で,アプローチ・研究対象・・・はかなり異なります。そのため,ゼミ生の前で発表をすることにより,欠けている視点や論理矛盾に気づくことができます。欠けている視点や論理矛盾を「問題・悪」と指摘するだけではなく,どう乗り越えていくのかまで議論をしていくため,研究が発展していきます。そうした建設的な場は,知的興奮を覚えます。本日は,そんな草原ゼミを象徴するようなゼミナールでした。【文責:小栗優貴】
2020.07.13
本日のゼミはD3の守谷、D4の鈩が発表を行いました。ともに、広島大学教育学研究科紀要に投稿した原稿を検討し、現在の進捗状況などを合わせて議論しました。
守谷の発表題目は「社会科カリキュラム・教科書開発者はいかに自己主導的に学習するか:カンボジア教育省のマニュアル執筆研修」でした。議論の中では、インタビューから得られたデータのコーディングに用いる概念について再検討することなどの提案がなされました。
鈩の発表題目は「海外日本人学校生徒は国内の子どもと異なる歴史的意義の判断を下すのか」でした。博士論文に本論文を位置付けるにあたって、結論部分をより大胆なものに修正する必要があるのではないかなどの提案がなされました。
2020.07.06
本日のゼミはD2の小栗、宅島が発表を行いました。翌日以降に実施される博士論文の特別研究での発表に向けて、現在の進捗状況や課題についての議論がなされました。
小栗の発表では、「学校教育のどのような経験が子どものengagementを促進・抑制させるのか?」についての量的調査で使用する質問紙について検討しました。中学校および高等学校への配布を控え、「特活」や「社会問題」などいかに生徒に伝わる表現にするか検討し、いよいよ調査開始となります。

宅島の発表では、生徒が行っている「作問活動」へのフィードバックコメントの影響について、複数の生徒の事例をもとに成果と課題を検討しました。いかに社会科の文脈に落とし込んだ分析が可能か、今後の課題が明らかになりました。
【文責:宅島大尭】
2020.06.30
本日のゼミは加藤隼哉、吉田純太郎(共に学部4年生)が発表を行いました。加藤は卒業論文に向けて現段階での想定している問題意識や研究手法について発表しました。問題意識である教師の自己修養についての論点の整理や章立て、などついて検討がされました。特に教師にとっての自己修養や市民参加とはなんなのか?が論点となりました。吉田は質問紙調査について構成の趣旨、計画について発表し、特に質問紙の内容や表現の工夫などについて検討、助言がなされました。

自分の問題意識と研究が正しく理解されるためには、論点を明確化し、整合性を取っていく必要がることに改めて気づかされました。また、ひとつひとつの言葉の表現にも気を配ることも求められます。今後、本格的に論文をまとめていく際に、気を付けていきたいと思います。【文責:山本康太】
2020.06.23
本日のゼミはM2の渡邉・孫による発表でした。共通して問題となったのは,発表内容が修士論文の全体においてどのような位置づけとなるのかということです。渡邉の場合,昨年からの発表では歴史的思考の概念に注目していたのに,今回の発表内容は概念についての発表ではなく研究者の教育観の変遷のような内容になっていたことが問題となりました。また,孫の場合は発表で取り上げている一地域と全体との関係性,知識の構造図の何に言及すべきか焦点化できていない点が問題となりました。

一回一回の発表に集中していると,ついつい全体を見失いがちになってしまうということに気付かされました。これまでの発表内容との整合性をはかりつつ,修士論文の完成に向けて構成を整えていく必要性を痛感する回になりました。【文責:渡邉竜平】
2020.06.16
博士論文の全体像をパワーポイントで発表しました。ドクター院生を除く現ゼミ生は初見だったため、私の方から自由で素直で率直な意見・指摘をするようにお願いしました。
発表をつくる中で私の博論は「カンボジアを事例に国際教育開発における、教育の専門家を育成する、研修の開発的・実証的研究」だと整理でき、それぞれの意義を伝えることを大切にしました。「教師→学習者」という一方向のあり方から「教師⇔学習者」という双方向のあり方へ変革し、学習者が自律的に学習できるよう、国際教育開発という「日本⇔カンボジア」、研修という「研修者⇔学習者」で体現しようとしていることは伝わった感覚が持てました。フロアからは「コロニアリズムを乗り越えた教育活動は実際にできているのか?」「なぜカンボジア?」「あなたのアクションの立場は?」「なぜ成人教育論?」「継続性は?」など、鋭い痛み・鈍い痛みがぐさぐさ・グリグリ。

カンボジアの万能内療法”コクチョール”のようなゼミでしたが、2時間以上かけて、参加ゼミ生の全員からコメントを頂けるという大変貴重でした。私の研究に熱心に耳を傾けてくださった草原先生・ゼミ生の皆さんに感謝です。一つ一つしっかり向き合います。そういえば今日の午前中に読んだD. Hessの論文で、論争問題を議論する教室では「まず教師は生徒をリスペクトする必要がある」と書いてありました。まずは自分自身の言動や行動を常に省察・メタ認知し、私が「支配-従属」を乗り越える姿を実践することが、研究の最終的な出来栄えを左右する。そんな気がしました。
【文責:守谷富士彦】
2020.06.09
本日のゼミでは,EVRI(教育ヴィジョン研究センター)作成の映像教材「社会科教科書の執筆者からの挑戦状」に対して寄せられた回答(国旗編・領土編・ニュース編)について検討しました。子どもたちの調べ学習の成果からは,彼らが抱いている興味・関心や,彼らの自由で多様な発想の実態が伺えました。それぞれの回答を十分に考察するとともに,市民性教育の観点から,彼らの学びを豊かにするためのアドバイスを議論しています。私たちは、以下のアドバイスを考えました。国旗編アドバイス・領土編アドバイス・ニュース編アドバイス

また,今回のゼミから学部3年生が参加しています。新たに草原ゼミへ加入したのは正出七瀬,津田晃希の2名です。教育実習を控えた彼らに良い刺激を与えるためにも,学部4年生は優れた研究成果が出せるよう尽力いたします。【文責:吉田純太郎】
2020.06.02
本日のゼミは、小栗優貴・宅島大尭(共にD2)の発表でした。両者とも調査研究を軸に博論を進めています。小栗の発表では「学校内における民主主義とはかけ離れている場面」「学校内における民主主義的場面」を皆さんで議論しました。この議論をもとに質問紙を開発していきます。宅島の発表では、これまでの調査の介入方略を検討。また、子どもの学習改善を社会科の目標と子どもが持っている目標の両者からどのように保障していくのかについて議論がなされました。

草原ゼミの皆さんは、市民性教育を軸にしながら多様な研究をしています。皆さんが持っている多様なレンズが自分の研究に新たな光を与えてくれます。新たな可能性のもとしっかりと研究を進めていきたいと思います。【文責:小栗】
2020.05.25
本日のゼミは学部生(B4:加藤・吉田・山本)発表でした。学部生の視点から見た草原ゼミの強みの一つは「学部生から院生さんまで含めた熟慮がなされる」点にあります。発表にゼミ生それぞれの専門的見地に基づくフィードバックが加わり、研究が洗練されていきます。研究のターゲットや研究手法の有効性など、議論を通して自説の弱みを自覚し、次のステップへと進んでいく……。それはまさに知的なトレーニング過程と言えるでしょう。意義ある研究のために、そして充実した集団での学びのために、次の発表に向け一層身が引き締まる思いです。

また冒頭では、リニューアルされたゼミHPがお披露目。流動激しい時代の中でいかに自己演出していくか、研究ターゲットにより効果的にアプローチしていくにはどうすればよいか、など「IT時代の研究者の在り方」談にも花が咲きました。【文責:加藤】
2020.05.18
オンラインでのゼミもだいぶ慣れてきました。本日は、鈩悠介さん(D4)と孫玉珂さん(M2)による発表。鈩さんは、これまで行ってきた「歴史的意義の相対化」を目指した実践を発表。それをもとにみんなで再デザインをしていきました。今回は、zoomのブレイクアウトルームも活用。いつもより、多くの意見がでた気がします。孫さんの発表では2004年版と2019年版の中国社会科教科書をアフリカに注目しながら分析し、国家政策の変化が社会科教科書にどのように影響しているのかを分析しました。

ディスカッションでは、分析結果をどのように論じていくかが議題に。学会発表では限られた時間の中で伝えていくことが求められます。それを見据えて、論理の組み立て方について、多様なアイデアが出されました。【文責:小栗】
2020.05.11
本日のゼミは、渡邉竜平くん(M2)と山本康太くん(B4)による発表。渡邉くんは、翌日に修士論文の中間発表会を控えていました。そのため、発表会を意識したゼミを行いました。カナダの「歴史的見方・考え方」の構築性を扱っている渡辺くん。発表に向けて理論的な構築性を扱うのか実践的な構築性を扱うのか論点を絞っていく必要性が話合われました。また山本くんは、社会科の分化・統合を研究しています。

今回は、勝田・梅根論争を中心とし、それぞれが社会科や教科をどのように捉えているかを検討しました。自分自身の教科の捉え方を相対化する良い機会となりました。【文責:小栗】
2020.04.27
本日のゼミは、宅島大尭さん(D2)・孫玉珂さん(M2)・渡邉竜平さん(M2)の発表でした。宅島さんは、「子どもの学習改善につながる社会科の評価とはどのようなものか」という問いのもと研究を進めています。本日の発表では昨年度行った予備調査に基づき、今年度の調査計画を発表しました。孫さんは、2019年度版の中国社会科教科書におけるアフリカの描かれ方を発表。

また渡邉さんは、カナダの歴史的見方・考え方がどのようにして教室に取り入れられようとしたのかを分析し、発表しました。研究の新たな方向性や可能性を教科書・歴史的事象の具体をもとに議論することができました。【文責:小栗】
2020.04.21
本日のゼミは、小栗優貴さん(D2)・加藤隼哉さん(B4)・吉田純太郎さん(B4)の発表でした。小栗さんは、IEAが行っている世界的な市民性調査をレビュー。今回は、市民性の一分野attitudeに関して発表しました。加藤さんは「学びづらさ」を抱える子どもたちに注目した市民性教育研究のレビューを行いました。吉田さんは、外国を含めた「政治的中立性」研究のレビューを通して日本で用いられる「政治的中立性」を相対化していました。小栗さんの発表では、ICCSが志向する市民性教育のデザイン原則を導くまでの過程を見える化していくかが議論になりました。

加藤さんや吉田さんの発表では、先行研究の理解をゼミ内で深めた後、皆で研究のデザイン・方向性を話し合いました。議論では、それぞれの「良い」市民性教育のあり方が異なり、論争的なゼミとなりました。【文責:小栗】
2020.04.14
本日のゼミは、M2による発表。間も無く修士論文の中間発表会を控えています。1人目は、孫玉珂さん。「中国の国家政策は教科書にどのような影響を与えているか」とという問いのもと研究しています。今回は、アフリカの描かれ方に注目し、2004年版教科書を分析し発表しました。2人目は、渡邉竜平さん。「カナダの歴史的な見方・考え方(日本とは少し異なる)はどのように構築されていったか」について研究しています。今回は、カナダの研究者がどのような社会状況に対抗して見方・考え方を作成していったかを取り上げました。

発表後の議論では、研究のターゲット・分析の妥当性等について話し合われました。分析の妥当性・複雑性をどのように見える化して示すかが難しいところです。隠れている外国の「思想」を明らかにしている2人にとって発表の場が妥当性を確認する機会となっていました。【文責:小栗】
2020.04.07
2020年度ゼミのキックオフ。新M1を迎え、新たなゼミの幕開けです。今年の新M1草原ゼミ生は、4名。共に研究する仲間が増えたことを嬉しく思います。コロナの関係でオンライン開催とはなってしまいましたが、我々の研究はとまりません。自己紹介がてら自身の進めている研究や興味のある研究について話し合いました。今年も楽しくなりそうな予感がしています。新年度、身体に気を付けながら研究頑張っていきましょう!【文責:小栗】

授業をつくる・教科を究める・教師を育てる・新しい社会を描く
草原和博研究室
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