地理歴史科教育論(2021)

地理歴史科教育論では、民主主義社会の形成者の育成という視点から中等の社会科及び地理歴史科を指導する教師としての基礎的な教師の資質・能力の育成をめざす。オンラインで多様なケース・スタディに取り組みことで、以下の4点を目的とする。

(1)私たちがK-12で学んだカリキュラムを省察し、近代の国民国家及び現代の民主主義国家が地理歴史教育を求める理由を説明できる。

(2)学ぶ意義を見いだしがたい(覚える)地理歴史教育の課題を乗り越えるために提起されてきたカリキュラム・単元構成論を知り、類型化できるまた各類型の視点から学習指導要領の特色や様々な教科書の強みや課題を評価できる。

(3)トークとチョークに依存した(覚える)地理歴史教育の課題を乗り越えるために提起されてきた教材選定・学習指導論を知り、類型化できる。また各類型の特性を活かすとともに、目標に準拠した学習課題や学習活動を構想できる。

(4)(2)と(3)を踏まえて、民主主義社会の課題と子どもの関心に応える、学びのレリバンスを追求した1-2時間の授業計画書をデザインできる。

【授業者】草原和博
【TA】安藤瑛啓(M2),宇ノ木啓太(M2)

以上2名が批判的同僚となり授業を作り上げていきます。

 

2021.11.25 第15講


PPTはこちらから:PPT15

◯学習評価について理解する
広島大学が出している「広大スタンダード」などの事例も交えつつ、評価のキジュン(規準・基準)の違いやルーブリックなどの学習評価について学びました。この講義が「広大スタンダード」のどこに位置づくかを確認し、本講義の目標を改めて振り返りました。

◯最終レポートを評価する
最終レポートのルーブリックを基に、TAが選出した最終レポートの授業略案を評価しました。私が選出した地理の授業実践では、「人口グラフの読解」「都道府県魅力度ランキングの批評」「広島県の公共交通機関地図の再構築」という異なる資料の使い方が上手く表現できていたと思います。本講義はこの活動をもって終了しますが、ここでの学びを生かして、これからも社会科教師としての専門性を磨いていって欲しいです。【文責:TA安藤瑛啓】


2021.11.18 第13〜14講

◯各自で最終レポートに取り組む
本講義の第1〜12講では社会科の授業実践を構想するために必要な様々なエッセンスを学んできました。本講義ではそれらを上手く活用し、各自で最終レポートに取り組みました。【文責:TA安藤瑛啓】


2021.11.11 第11〜12講

PPTはこちらから:PPT11・12

◯課題の振り返り
前回の講義で学んだことを生かし、「アジア州の単元をどのように設計するか」という課題に取り組んでもらいました。各学生が支持する授業理論によって教科書のどの地域を取り上げるかに差が見られました。多くの学生が複数の授業理論にまたがる単元設計を行なっていました。

◯資料の使い方が異なる3つの授業実践の目標を理解する
3つの授業実践「コソボ紛争」「地図とは何か」「中世の枡」における、目標の違いによる資料の位置付けの違いについて考えました。私たちがイメージする資料の「読解」だけでなく、「批評」「デザイン」といった使い方について学びました。

◯1つの資料から3類型の授業実践を構想する
グループごとに1つの資料を選択し、3つの使い方について検討しました。TAが提示した「肖像画(明治天皇)」「グラフ(各国の自動車生産台数の変化)」の他に、「風刺画」「地図」など個性的な資料選択が各グループで見られました。ここまでの活動を振り返り、いよいよ最終レポートでは授業略案を作成していきます。【文責:TA安藤瑛啓】


2021.11.04 第9〜10講

PPTはこちらから:PPT⑨⑩

◯課題の振り返り
草原論文(2012)における調査協力者である3人の教師のうち、誰に最も共感できるかという課題が出されていました。各教師の授業の特徴やそこから読み取れる授業理論を見抜き、自身の理想とする社会科授業とどこが一致しているかを上手く書けている回答が多い印象を受けました。

◯教師が主体的に意思決定する存在であることを理解する
課題でも取り上げられた3人の教師が作成した授業実践を改めて確認しました。同じ教科書を使用しているのにも関わらず、三者三様の授業実践になっていましたね。この事例から、教師とは教科書の内容をそのまま教えるような受動的な存在ではなく、主体的に意思決定しカリキュラムをデザインする存在であることを学びました。

◯教師の意思決定を追体験する
では、3人の教師の意思決定にはどのような特徴があるのでしょうか。教師が身を置いている外部環境(外的条件)、教師の価値観(内的条件)などが描かれたチャートを用いて、教師がこれらをどのように擦り合わせているのかを各班で分析しました。各班の発表内容から、教師は様々な条件を巧みに調節していることが分かりました。【文責:TA安藤瑛啓】

2021.10.28 第7〜8講

PPTはこちらから:PPT⑦⑧

◯課題の振り返り
TAから前回の作業課題と授業後の課題の振り返りがありました。作業課題の振り返りでは、各班で選んだテーマを学習指導要領上のどの内容で取り扱うのかという点を中心に行いました。また、前回の授業後には授業類型に適した教室空間の写真を選ぶという課題が出されていました。資料がある部屋、ラボ形式の机、オンライン対応の教室などの空間が選ばれていました。

◯学問と行政の用語のすり合わせをする
「コンテンツ・ベースド(内容中心)」などの用語は学習指導要領においてどのように表現されているか、そして本講義で学んだ社会科教育の目標・授業類型とどのように対応しているかを各班で議論しました。同じ用語が割り当てられた班同士でも解釈の差異が見られました。

◯社会科教育の授業類型について整理する
今まで学習してきた社会科教育の4つの授業類型について相違点に着目しながら整理しました。後半は急ぎ足だったので特徴の説明が中心になりましたが、スライドには具体的なカリキュラムの写真などが掲載されているので、ぜひ復習してみてください。【文責:TA安藤瑛啓】

2021.10.21 第5〜6講

PPTはこちらから:PPT⑤⑥

◯課題の振り返り
「グレタさんを地理歴史(公民)でどのように扱うか」という問いに対して、「グレタさんの主張の背景を探る授業(パターン②)」「歴史上の環境問題に取り組んだ人物と比較する授業(パターン③)」「グレタさんの活動の是非を議論する授業(パターン④)」などの回答がありました。

◯地理歴史教師としてのコアリフレクションをする
「自分たちの力で社会を変えることができるか」について自分の立場を表明しました。また、それを踏まえて「自分が考える望ましい社会」や「それを実現するために為すべきこと」について考えました。

◯地理歴史のオリジナルの授業をつくる
テーマを1つ選び、2パターンの授業づくりに挑戦しました。コアリフレクションの結果を踏まえ、どのようなパターンを選ぶかを決めました。「戦争」「革命」など歴史に関するテーマが多く、個性的な授業が見られました。前回と同様に各班のスライドにコメントを書く活動もあり、白熱した議論が交わされていました。【文責:TA安藤瑛啓】

2021.10.14 第3〜4講

PPTはこちらから:PPT③④

◯課題の振り返り
前回の課題に対して、TAが「社会化・主体化」の枠組みから代表する事例を紹介しました。社会化・主体化のどちらかの側面を重視する回答、両側面を重視する回答、他の視点からの回答がありました。

◯「地理・歴史教育のバリエーション」の具体例を知る
オーストラリアをテーマにした4パターンの地理の授業、織豊政権をテーマにした4パターンの歴史の授業について具体的に説明がありました。例えば地理の授業では、自然・文化・産業を網羅的に学習する授業、移民の受け入れの是非について議論する授業、各国の経済成長を類型化する授業、多文化社会に転換した背景を探る授業が挙げられました。授業の詳細についてはスライドをチェックしてみてください。

◯「地理・歴史教育のバリエーション」の一押しペアを考える
各グループで、公教育の責任の視点から8パターンの授業に序列をつけました。議論を中心とした授業を高く評価するグループが多い印象を受けました。各グループの解釈についてコメントを書く活動を通して議論を深めることができました。【文責:TA安藤瑛啓】

2021.10.07 第1〜2講


PPTはこちらから:PPT①②

◯オリエンテーション
シラバスを説明し、この講義の4つの目標を確認しました。

◯「社会科・地理歴史科を教える専門職としての教師の「専門性」とは何か?そもそも教師は専門職なのか?」について考える
「教師は専門職なのか?」について自身の立場を表明してもらいました。多くの学生が教師は専門職であると考えているようでした。

◯「戦後の教科書が伝えているスウェーデン像」について考える
各グループで3つの年代の教科書に書かれたスウェーデン像とその意図について分析・考察しました。活動を通して、教科書が共同体意識の形成を志向しているものであり、社会科教師はその形成に加担していることを実感することができました。【文責:TA安藤瑛啓】