教職課程・現職研修カリキュラムデザイン基礎研究

教職課程・現職研修カリキュラムデザイン基礎研究では、以下の目標に基づいて、教師教育理論を学び、実践について考察していきます シラバスはこちら

(1)教職課程の学生が,専門職としての➀知識・能力の形成と②教育観・教科観の再構築を支援する方策を、具体的にデザインできる。

(2)専門職としての➀知識・能力の形成と②教育観・教科観の再構築を促進・阻害している諸条件を、文献の読解を通して考察できる。



2020.08.07

 本日は,前回に引き続き社会認識の大学院1年生が「地理歴史科教育論」1時間分の授業をデザインし,意見をいただくという講義でした。前回の講義で先生や受講者のみなさまからいただいたアドバイスを踏まえて,今回はコルトハーヘンのALACTモデルを用いた授業に修正しました。ALACTモデルを活用することによって,概念だけではなく教育観にも立ち入るような省察となることが期待され,より授業の狙いに近いものへと修正することができました。発表後は,草原先生からのコメントやブレークアウトでの意見交換が行われました。印象的だったのは,草原先生と受講者の方による授業案の一部のデモンストレーションで,かなり難易度の高い活動であるということが予想されました。

一方で,その後のブレークアウトでは,「難しいことは否めないが,失敗してもやる価値はある」といった意見もいただきました。今後は,実施に向けて,ワークシートや活動などの細かい確認・修正を行っていきたいと思います。コロナ禍ではありますが,恙なく実施できることを願っています。

【文責:神田颯】




2020.07.22

 本日の講義は、社会認識の大学院1年により、これまで学んだ理論をもとに学部2年生の後期で行われる授業「地理歴史科教育論」の1ー2講義をデザインし、そのデザイン案について意見をもらうという授業でした。
 私たちは、授業で学んだ理論のうち、コルブの経験学習モデルを活用し、講義の最終講をアレンジし、実際の指導案作りを経験と捉え、経験学習のサイクルを回すことで、これからの授業作りの改善に役立つような授業をデザインしようとしました。
 講義では、デザイン案を発表し、草原先生から質問・意見をいただき、その後3グループに分かれ、デザイン案の改善に向けた意見をいただきました。

 授業の狙いとずれている。目標ー経験学習モデルー活動がずれている。展開部分は本当に抽象的概念化か? グループで指導案を作るからこその悩みが出てくるのではないか?自分で作った指導案に対して、客観的に批判するのが難しいのではないか?(目標の)意思決定過程どこにいった?など様々な意見をいただきました。
 この意見をもとに修正し、次の講義でより良いデザイン案を作成していきたいです。【文責:宇ノ木啓太】

2020.07.17

本日の講義はジマーマンの「自己調整学習論」とカークパトリックの「評価モデル」について学びました。「自己調整学習」は予見,遂行コントロール,自己省察の3つのプロセスを循環するし,学習者が自身の学習過程に能動的に関与していくことを目指していました。一方で,「評価モデル」は反応,学習,行動,結果の4段階をそれぞれ評価することで,研修の成果を最大化させる試みでした。発表者は2つの理論について具体的な活用例を示しました。「自己調整学習論」については,教育実習に向けて学生に自己調整学習能力を強化してもらおうというものでした。

「評価モデル」については,現職研修において日ごろから実践で困っているところを共有し,理論を使って解決策を示すことが考えられました。「自己調整学習」は循環型であること,「評価モデル」は研修そのものだけを射程に入れることができないことから,投げ込み型で活用例を考えることが難しいことも発表者は示してくれました。【文責:今井祐介】

2020.07.10

本日の講義ではコルトハーヘンが提唱している「ALACTモデル」について学びました。「ALACTモデル」は以前取り上げた「玉ねぎモデル」とも関連が深く、教師の自律的な成長を促すという点で有効な理論として紹介されました。右の図が示す通り、「ALACTモデル」は「①行為」「②行為の振り返り」「③本質的な諸相への気づき」「④行為の選択肢の拡大」「⑤試行」の5つの局面で構成されています。教職課程において活用する際は、特に③をどのような形で実践させるかが鍵となるようです。では、教職課程の学生に本質的な気づきを与えるためには、どのような手立てが考えられるのでしょうか。

例えば、指導者や学生と検討を重ねることで、一人では見えてこなかった気づきを得ることができるかもしれません。このような行為の振り返りにおいては他者の存在が重要です。一方で、教職課程の構造上の問題から振り返りの時間を確保することが難しい現状もあります。教職課程をどう改善すべきか、引き続き論点となりそうです。【文責:安藤】




2020.07.03

本日のテーマはクラムの「メンタリング」についてでした。メンタリングとは、メンターがプロテージに対して行う支援的な人的資源開発手段であり、クラムはこれを行動の側面に着目して「キャリア的機能」と「心理的・社会的機能」に分類し、さらに9つの下位概念に整理していました。興味深かったのは、メンタリングを制度として活用することの難しさやその危険性が議論で指摘された一方で、近年の教育界でも「メンター制度」は注目されつつあるということでした。いかにしてメンター制度の危険に立ち向かうかということは課題ではないでしょうか。

今回の発表を通して、メンターとプロテージ間に互恵的側面があることや、メンターとして必要な資質にも触れることができました。自身の振る舞いを省みるという意味でも面白い概念だったと思います。【文責:神田】

2020.06.26

本日のテーマはコルブの「経験学習モデル」についてでした。経験学習モデルとは、「具体的経験ー内省的観察ー抽象的概念化ー能動的実験」のサイクルで、このサイクルを繰り返すことで成長をしていこうとするものでした。この授業の毎回の冒頭で行われている投票(左写真)も、具体的な経験を観察、概念化するという意味もあり、この授業自体もこのサイクルに当てはめて考えていけるものだと気付かされました。発表の最後には、このモデルを通して授業やカリキュラムを振り返るのに効果的なのではという考察がありました。

議論では、このモデルをもとに教育実習カリキュラムをいかに改善するかについて考えました。様々な問題・改善策を話す中で、現状の問題点と他大学と広島大学の違いなど話すことができました。【文責:宇ノ木】




2020.06.19

本日のテーマは「ADDIEモデル」目標達成に向けて,指導のデザイン・再デザインを行うための開発モデルでした。ADDIEモデルの特徴は,学習者のニーズやレディネスの分析(Analysis)学習者からのフィードバックを受けて学習計画を評価する(Evaluation)にあります。つまり学習者の状況を事前に分析することはもちろん,言い換えれば,授業一回ごとに振り返りを行うことで,実践の途中で活動を改善させようとする点がADDIEモデルの意義だということでした。また,ADDIEモデルは教育工学の流れを汲んだID理論を支える一つのモデルであることがわかり,マクロな時代の流れの中に位置付けることができました。

ID理論とADDIEモデルは教育工学の文脈で用いられてきた枠組みで,そのルーツは大人数向けの社会人研修にあることもわかりました。そのため,ADDIEモデルが,社会人向けでかつ大規模に実施可能な,e-ラーニングの世界で応用されていることもわかりました。【文責:今井祐介】

2020. 06. 12

今回のテーマは,ノールズの「アンドラゴジー」。大人の学びを表す「アンドラゴジー」という概念を通して,成人学習のあり方を模索しました。子どもの学び(ペダゴジー)と大人の学び(アンドラゴジー)の違いについて語る中で,成人学習者と指導者の関係の特徴を具体的にイメージすることができました。さらに,「アンドラゴジー」の考え方を持ち込んで,具体的な教職課程での活用例を考えることができました。そもそも,教職課程はペダゴジーなのか,アンドラゴジーなのかについては判断が難しいため,全ての講義をアンドラゴジー型にしてしまっていいのかという話にも展開しました。

一方で,発表者からは,ペダゴジーとアンドラゴジーの学びのあり方は,二者択一ではなく,むしろ連続的に捉えるべきだという視点をもらうことができました。【文責:今井祐介】


2020.06.05

今回のテーマは、コルトハーヘンが提唱する「玉ねぎモデル(the onion model)」。「玉ねぎモデル」とはどのようなものかを確認し、それがどのように用いられ、どのような成果が期待されているのかを共有しました。その後、大学院生の実体験と基にした事例が紹介され、「玉ねぎモデル」は学部生や大学院生などの教職課程において、どのように運用可能であるかについて議論が交わされました。小グループに分かれての議論では、「玉ねぎモデル」の中心にある「コア・クオリティ」について各々の意見を聞くことができました。

「玉ねぎモデル」は、学校現場に勤務する教師だけでなく、教育実習に向かう学生にとっていかに機能するのかについて考える機会となりました。【文責:宅島大尭】





2020.05.29

本日のテーマは,「洗い流し」。ZeichnerとTabachnickが1981年に体系立てて取り上げた概念です。そもそもこの概念は,教師が大学を卒業して勤務校の文化に馴染んでいくうちに,大学で学んだ先進的な教育学の理論を手放していくことを意味して使われていました。議論を通して,この「洗い流し」と言う概念がどんな立場の人が好んで使うのかと言うことを批判的に見直す機会を得ることができました。

概念そのものについての議論だけでなく,それを教職課程にどう生かすかと言う本講義の到達点を見据えた議論も白熱しました。また,前回(5.22)の「観察による徒弟制」と「洗い流し」をそれぞれ教職課程の入り口と出口の問題として対比して語ることができた点も面白かったです。【文責:今井】




2020.05.22

本日のテーマは、「観察による徒弟制」。これまで自分自身がどんな「観察」をしてきたかどんな「徒弟」関係を作っているのかを振り返ってから、Lortieの当該概念を確認していきました。今回の発表から観察による徒弟制によって引き起こされる問題点を自分の経験からメタ認知できました。興味深かったのは「学校好き」「教師好き」「こういう教師は良い教師」と被教育体験期に感じたり、考えてきた人ほど、「観察による徒弟制」が起こっている可能性が高いこと。

教職課程において,どの程度「観察による徒弟制」を考慮すべきか、またどのように乗り越えていけるかについて議論が弾みました。教師を目指す受講者が多い中で,自分自身の教育観と経験を見直す良い機会になりました。【文責:小栗】




2020.05.15

本日の授業は、自身が受けた「教師教育の中で「良い」と思った授業は何か?」を分析をしました。学部生時代に思っていた「良い」大学授業と現在思う「良い」大学授業が異なること。教科よっても目的論を問う授業なのか、方法論・技術論を問う授業になるのか異なること、などが分かってきました。特に学部時代は、授業を作れるかなど実習に関することに対して「良い」とするのに対して、大学院生や教員になってからは、「なぜ社会科を教えるのか」

「なぜ数学を教えるのか」など教科の意義を問い直してくれた授業を「良い」とする傾向があることが分かってきました。【文責:小栗】


2020.05.08

いよいよ「教職課程・現職研修カリキュラムデザイン基礎研究」が開講。本講義では、各々が教師教育者になるため、教師教育に関わる諸概念を学び、教職課程のカリキュラムを提案します。この授業は、社会科教育だけではなく、他領域を専攻する方が受講しています。他専攻の教師教育の実態を聞くことで,自身の専攻の教師教育のあり方を相対化できる機会となっています。第1回の本日は、社会科教育を専攻するM1が今年3月に発行された社会認識教育学会編『中学校社会科教育・高等学校地理歴史科教育』学術図書出版を分析。特に「それぞれの著者がテキスト(意図された教職課程)に期待する役割」は何かを読み解きました。著者により、どうやら役割が違いそうです。【文責:小栗】

授業をつくる・教科を究める教師を育てる・新しい社会を描く

草原和博研究室

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広島県東広島市鏡山1-1-1
教育学研究科A棟A404号室

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